東洋医学の基礎概念は3つの中心的な思想があります。
1.気の思想:エネルギーの考え方
2.陰陽論(陰陽学説)
3.五行説(五行学説)
この三つの思想は、古代中国の哲学的な思想体系になっていて、この世を表す法則です。
また、人間の身体にも応用し、人体の構造や機能、体の中に起こる様々な反応も、自然界の一部としてとらえています。
こうした基礎概念が根底にある、東洋医学は中国から日本に輸入され、日本独自に発展していった経緯があります。
東洋医学を生み出した独特な思想体系を理解することが重要になります。
気の思想:エネルギー
気を一言でいえば、「エネルギー」を表しています。
気の思想とは宇宙生成から生命現象に至るまで、すべて「気」を根底に置く考え方です。
人間をとりまく自然界は、大きなエネルギーがたくさんあふれています。
天候・風土・生物・環境等、地球における様々な現象は、エネルギーなしには起こりえません。
これを端的に表している言葉が「気」になります。
このような、気の思想体系が日本に導入されたのは、中国から漢字が入ってきた後になります。
あらゆる物質は多様で微細な気から構成され、気が最も基本的な物質であり、すべての事物は、気の運動変化によって産生されると考えられています。
古代中国では、このように目に見ることが出来ず、形はありませんが、特別な力が働き、自然界における様々な事象・現象を説明するには目に見えない力の存在を定義するために、「気」の概念を作り出しました。
「気」は古代の哲学思想において、重要な思想となっています。
気の思想の成立は、中国の戦国時代から秦漢時代にかけて、老子や荘子らによって「精気思想」として発展したと考えられています。
精気とは、気の不純物が取り除かれた、きれいな気として理解すれば良いです。
気の思想とは
・この世のすべては気によって構成される。
・気の運動変化によって、様々な事象や物質が生まれる。
このような特徴を持ちます。
陰陽論(陰陽学説)
陰陽論は陰陽学説とも呼ばれ、中国古代の哲学理論となっています。
陰と陽は対をなす名詞であって、対立した両面を表しています。
古代中国の相対的な物の見方が、陰陽論となっています。
私たちの生活の中でも、何気なく陰と陽は使われています。
例えば、
陰キャ・陰気な場所・陰極(マイナス)
陽キャ・陽気な人・陽極(プラス)etc…
このことからも、
・陽は活動的で積極的な様
・陰は、非活動的で消極的な様
を表しています。
陰陽可分:陰中の陽・陽中の陰
陰陽論の核となる考え方は、
「あらゆる物質は陰と陽の二気に基づいて生成・発展・変化していく」
「すべての事物を陰と陽の両面に分けることが出来る」
というものです。
あらゆる物・あらゆる事は、
対立する陰と陽に振り分けて分類で出来、
一方が無ければ、もう一方も存在できないという
統一された特徴も持ち合わせています。
また陰と陽に分類されたものを、
更に陰と陽に分類することが出来ます。
これは無限に繰り返すことが可能で、「陰陽可分」と表します。
その中で、分類された陰の中の陽や陽の中の陰を
・陰中の陽
・陽中の陰
と表現します。
さらに、陰と陽は一定のリズムを持ち、
変化していく特徴も持ちます。
朝・昼・夕・晩のように1日の中で変化しますし、
春・夏・秋・冬のように1年でも季節は変化します。
この一定のリズムが陰から陽、
陽から陰という変化として捉えられてきました。
陰陽は相対的な2つの事柄を分類していますが、
ある側面から見ると陽に分類され、
ある側面から見ると陰に分類される
というように
絶対的な分類ではなく、あくまでも相対的な分類をする考え方もあります。
陰陽論は
・相対的な分類をする
・分類されたものをさらに分類することが出来る
・一定のリズムによって変化する
という特徴を持つ、古代中国の思想体系になります。
五行説(五行学説)
五行説は
世界にあるあらゆるものが
「木・火・土・金・水」
に当てはめることが出来る
という思想になります。
また、陰陽論と五行説を合わせて、
陰陽五行論と表されてもいます。
各要素の意味は
木:草木が芽を出すように万物が生じる
火:火が燃えるように万物が長じる
土:万物を育てるすべての母なる大地
金:金属を意味し収穫を意味する
水:湧水を意味し、万物を生み出す源を意味する
という物になります。
これらの各要素が、お互いに支えあう
運動法則を持ちます。
五行相生説
五行相生説は五行がお互いに強調しあう様が表されています。
木生火:木と木の摩擦により火が生まれ、
木が増えると火も勢いを増す。
火生土:木が燃え灰を生じ、それが土となる。
土生金:土の中から金属を掘り起こす。
金生水:金属の表面から水分が生じる
水生木:水が木を育てる。
五行相剋説
五行相剋説は、
五行が互いにけん制しあう様を表しいます。
木剋土:木は土の養分を吸収する
火剋金:火は金属を溶かす
土剋水:土は水を吸い取る
金剋木:金属は木を切り倒す
水剋火:水は火の勢いを弱める
五行土王説
相剋説および相生説では
五行の各要素は対等の関係を示していましたが、
五行土王説では、
土がほかの要素よりも強く表されています。
この関係は方位との関連が深く、
土を中心に、水が南、火が北、木が東、金が西を表しています。
また、木が春、火が夏、金が秋、水が冬を表しているため、
土を中心に木・火側が陽、金・水側が陰となっていることから
陰陽五行説を表している図にもなっているのです。
まとめ
- 自然界のエネルギーを表す。
- すべての事物は気という微細物質で構成されている。
- 気の運動変化によって、事象と事物が産生される。
- 世界は陰と陽に分けることが出来る。陰陽可分
- 分けた陰と陽はさらに陰と陽に分けることが出来る。陰中の陽・陽中の陰
- 陰と陽は一定のリズムで変化を起こすので、全体的な分類ではない。
- この世界のあらゆるものは、木火土金水の要素に分かれる。
- 各要素が強調と抑制をしあいながら、バランスを保つ。相生・相剋
- 五行土王説において、陰陽五行論とする
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